【スペイン建築史 決定版】スペイン建築の特徴と歴史まとめ!古代ローマ・イスラーム・ガウディまで時代順に解説

イスラーム建築

スペイン建築と聞いて、あなたはどんな建物を思い浮かべますか?

サグラダ・ファミリアなどのガウディの作品が思い浮かんだでしょうか。それとも幾何学模様が幻想的なアルハンブラ宮殿、あるいは近未来的なビルバオ・グッゲンハイム美術館が思い浮かぶでしょうか

スペイン建築の最大の魅力は、古代ローマ・イスラム教・キリスト教という全く異なる文化が融合して生まれた、世界で唯一無二の多様性にあります

この記事では、建築史専門かつ建築士の卵である筆者が、スペイン建築の特徴や様式の変遷、見どころをこんな方に向けて書いています!
✅ スペイン旅行で世界遺産や建築を、ガイドブック以上の知識で楽しみたい方
✅ スペイン建築の流れをわかりやすく学びたい方
✅ ガウディ以外のスペイン建築・建築家についても知りたい方
写真やイラストをたくさん盛り込んで、旅行に役立つTipsも載せています。旅行前の勉強や参考に役立ててください😊

スペイン建築の歴史を知れば、もっともっとあなたの旅が楽しくなります。ぜひ、気になるページをのぞいていみてください!

スペイン建築の特徴は?

スペイン建築の最大の特徴であり、最高の魅力は、古代ローマ帝国・イスラーム教・キリスト教という異なる文化が重なり合い、独自の融合を遂げた点にあります

スペインの建築様式は、一つの時代に一つの建築様式ではなく、グラデーションのように変化しています。同時代においても、北と南で建築様式が大きく異なることもあります。現代のスペインにおいても、地域により建築の様相が大きく異なる理由でもあります

これにはスペインの地理的・地政学的な要因が大きいと考えられます

  1. ヨーロッパとアフリカ(オリエント)を結ぶ「懸け橋」
    ジブラルタル海峡を挟んで北アフリカと目と鼻の先にあるため、中東から北アフリカを経て進出してきたイスラーム勢力が流入する経路となりました
  2. 地中海と大西洋が交差する「文明の交差点」
    地中海と大西洋の2つの海に面し、古くはフェニキアやギリシャ、ローマ、そしてイスラムやキリスト教諸国など、海上貿易や征服活動を通じて多様な民族・文明が入り交じる要衝でした
  3. ピレネー山脈による「適度な孤立」
    イベリア半島の北側にはピレネー山脈が立ちはだかり、フランスなどヨーロッパ本土のロマネスク様式やゴシック様式がそのまま持ち込まれるだけでなく、ピレネー山脈の南側(イベリア半島内)でイスラーム文化や地元の伝統と混ざり合い、独自の様式へと熟成しやすかったという側面があります

紀元前1万年前~│先史時代 巨石文化

スペインが位置するイベリア半島の文明は古く、紀元前1万年前には、スペイン北部カンタブリア州にはアルタミラの壁画などにみられるマドレーヌ文化が栄えていました

石器時代には、ドルメンとよばれる大きな石のテーブルのような巨大な石による建造物が見られます。ストーンヘッジの起源とも考えられ、精霊信仰に基づく宗教的な意味合いがあったといわれています

  • アンテケラのドルメン遺跡(メンガ支石墓)世界遺産:総重量1,600tと、かなりの規模!これだけの巨石を運ばせた強力なリーダーの存在と、大規模の部族が生活していたことが考えられます
Antequera Dolmens Site
Located at the heart of Andalusia in southern Spain, the site comprises three megalithic monuments: the Menga and Viera …

紀元前3世紀〜│古代ローマ時代 都市インフラと土木技術

紀元前218年より始まったローマ帝国によるイベリア半島の征服により、都市開発技術と土木技術がもたらされました。大規模に発達した格子状の都市計画や巨大なインフラをかなえた石造技術、耐久性に優れたアーチ構造をもつ宗教建築など、すでに高度な技術が見られます

・メリダの円形劇場世界遺産

紀元前1世紀に建設され、現在もメリダ国際古典演劇際の会場となっています。ウィトルウィウスの『建築について』に沿った典型的なローマ建築様式です

・セゴビアの水道橋世界遺産

スペインに現存する水道橋としては最長です。セゴビアはマドリードから日帰りで行ける距離で、観光地としても人気!

6世紀〜11世紀│プレ・ロマネスク様式 初期キリスト教建築

古代ローマ帝国の崩壊後、11世紀のロマネスク様式が花開くまでの過渡期のキリスト教建築をプレ・ロマネスク期と呼びます。その名の通りロマネスク様式につながる特徴を持っていますが、地域差が大きいです

この時期のイベリア半島では、ゲルマン諸民族の侵入、イスラーム勢力の支配、イスラーム王朝の転換など政治的変化が大きく、異文化との交流に応じて建築様式も変化していきます

6世紀〜7世紀│西ゴート建築

5世紀にイベリア半島に侵入したゲルマン民族、西ゴート王国の時代に見られた様式です。建築例は少なくいずれも小規模な宗教建築ですが、地中海の初期キリスト教建築の伝統をベースにしながら、石造りの堅実なスタイルを発達させました

また、大きな特徴の一つに馬蹄形ばていけいアーチがあります。一般的にイスラーム建築の特徴と言われていますが、イスラーム支配前よりイベリア半島にモチーフとして使われていたことを示しています

馬蹄形アーチ…アーチの曲線が、馬の蹄ひづめに取り付ける馬蹄に似ている

  • サン・ペドロ・デ・ラ・ナベ教会:7世紀末に建てられた西ゴート建築の最古の教会と考えられています。モルタルなしの砂岩による組積造ですが、きわめて精密に積まれています。のちのアストゥリアス建築に見られるバレル・ヴォールト(筒形ヴォールト)と、モサラベ様式に見られる馬蹄形アーチの特徴が部分的にすでに見られます
  • サン・フアン・バウティスタ教会:レセスウィント王によって建立された、スペインにおけるプレ・ロマネスク様式の傑作です。この教会が位置するバレンシアには、プレ・ロマネスク様式の建築が多く集まっています

8世紀〜10世紀│アストゥリアス建築

西ゴート王国の時代を経て、北部アストゥリアス王国を中心に独特のキリスト教建築が花開きました。カンタブリア山脈とローマの伝統を受け継ぎつつ、独自の細部装飾や石造のトンネル状バレル・ヴォールト(筒形ヴォールト)を発達させました。西ゴートの伝統と地元の技法を融合させ、当時のヨーロッパでも高い完成度の際立った建築様式です

バレル・ヴォールト(筒形ヴォールト)…アーチ型は平行に押し出した天井様式をヴォールトといい、その最も単純な形式。筒形やトンネルを長さ方向に半分に切ったものに似ている

繊細な浮彫装飾(レリーフ)や絵画装飾も高い技術の成すものですが、特にヴォールト構造が優勢で、ねじれた柱を持つ二重柱は200年後のロマネスク建築の到達点を先取りする高度な技術です

・サンタ・マリア・デル・ナランコ教会(オビエド)世界遺産:アストゥリアス王・ラミロ1世の邸宅として建設されました。天井はバレル・ヴォールトで覆われ、梁間方向にねじれた柱を持つ二重柱でブラインドアーケードが配置されています

  • サン・ミゲル・デ・リーリョ教会世界遺産:上記のナランコ教会の数百メートル先に建っている教会。邸宅の礼拝堂として作られたもので、石の格子窓が特徴的です

9世紀〜11世紀│モサラベ建築

モサラベとは、イスラーム教徒の支配下に暮らしながらキリスト教の信仰を守り続けた人々を指します。モサラベ様式は、北部のキリスト教と南部のイスラーム教という2つの伝統を融合させたもので、両者は違いはあるものの、ルーツは地中海に共通していました。そのため、当時の人々にとって、両者の間に概念的な区別はなく、共通の伝統の一部とみなされていたようです

特徴としては、馬蹄形アーチやアルフィスを取り入れ、多様なヴォールト天井や複合柱で空間を構成しています。アストゥリアス伝統の二連・三連窓や補強用の控え壁(バットレス)、西ゴート風の幾何学模様・植物・動物のレリーフを融合しており、プレ・ロマネスク様式の流れも顕著です

アルフィス…アーチの外側を四角く囲む額縁のような枠装飾

控え壁(バットレス)…重い天井や壁が外側に倒れないよう、外壁の突起として外側に張り出させた補強壁

レリーフ…平らな石や壁の表面からモチーフや模様を立体的に浮き上がらせた浮彫りの彫刻

・サンタ・マリア・デ・ワンバ教会:西側正面には、トランペット状の3つの半円アーチで構成された入口があります。内部は、馬蹄形アーチや後陣に見られるモサラベ様式、後期ロマネスクの尖頭アーチや切石が組み合わさった複合構造で、多数の建築様式の特徴がみられます!

  • サン・ミゲル・デ・エスカラーダ修道院:10世紀からほぼその原型をとどめている典型的なモサラベ様式の例です。前進は西ゴート建築の礼拝所でした。内部のアーチはいずれも馬蹄形アーチで、大理石による柱が祈りのための場という印象を与えます

「イベリア半島にあるモサラベ建築群」は、複数の建築様式を折衷しつつも独自性をもつ豊かな芸術として評価され、世界遺産候補として検討されています

8世紀〜15世紀│イスラーム建築 異国情緒あふれる幾何学美

711年のムスリム侵入以降、約800年間にわたり、イベリア半島南部を中心にイスラーム文化が繁栄しました。馬蹄形アーチ、緻密な幾何学模様(セブカ)、ムカルナス、水や庭園を空間に取り入れる演出は、中東地域のイスラーム建築の特徴とも一致します。高価な石材ではなくレンガや漆喰、木材を用いた繊細な空間美はレコンキスタを経てもなお現存しています

セブカの一例
アルハンブラ宮殿のセブカの一例
ムカルナス
アルハンブラ宮殿のムカルナス

セブカ…菱形や波状の線が網目のように規則的に広がる、壁面を覆う繊細な幾何学模様

ムカルナス…鍾乳石や蜂の巣のように、小さな凹凸パーツが階段状に立体的に重なり合う天井や立体アーチの装飾

・コルドバのメスキータ世界遺産:785年の建設開始より3回にわたり拡張を続けています。入口から馬蹄形アーチが施され、内部は大理石と楔形の赤レンガを交互に組み合わせたアーチが続く、圧巻の光景です

・アルハンブラ宮殿世界遺産:もともとは軍事要塞として建てられた建造物に、イスラーム支配下で宮殿に転用されました。そのため外観は無機質ですが、内部は非常に華美で繊細な装飾が広がっています。1492年レコンキスタによる陥落まで増築を繰り返します

11世紀〜15世紀│異宗教・異文化の融合

キリスト教徒による国土回復運動(レコンキスタ)の進展とともに、ヨーロッパの建築様式とイスラーム建築の技術が共存する時代を迎えます

11世紀〜13世紀│ロマネスク様式

ロマネスク様式は、ヨーロッパ全域で発達したキリスト教建築様式です。スペインでは、レコンキスタ(国土回復運動)の進展とサンティアゴ巡礼路の発達とともに伝播し、北部キリスト教領を中心に広がっていきました

最大の特徴は、厚い石造りの壁、バレル・ヴォールト、そして重い屋根を支えるために設けられた小さな開口部です。内部は薄暗く重厚感があり、静寂の中で神と向き合う厳かな空間が特徴です

9世紀に聖ヤコブ(=サンティアゴ)の墓が発見されて以来、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指してヨーロッパ中から多くの巡礼者が流入しました。巡礼者には建築家もおり、フランスをはじめとする最先端の技術やデザインが持ち込まれました。巡礼路に沿った教会は、大勢の巡礼者が聖遺物をスムーズに参拝できるように側廊や放射状祭室を備えた大型のバシリカ様式が確立されました

・サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂世界遺産:巡礼路の終着点であり、スペイン・ロマネスク建築の最高峰です。カテドラルが町の中心として、美しいランドマークとなっています。基礎的な構造は守られつつも建築は続き、ルネサンス様式・バロック様式の時期に、回廊の増設が行われました

・ボイ渓谷のロマネスク教会群世界遺産:ピレネー山脈にあるボイ渓谷は、イスラーム勢力の影響が及びませんでした。そのため、イタリアのロンバルディア地方の影響を受けたロマネスク様式が多く残っています

13世紀〜15世紀│ゴシック様式

フランスからの影響を受け、高さと光を追求したゴシック様式が誕生しました。構造としては、尖頭アーチ、フライング・バットレス、リブ・ヴォールトが用いられ、建造物の高さを出すことが出来るようになりました。また、美しいステンドグラスが特徴で、光を取り込むことで内部に幻想的で神聖な空間を演出し、信者たちの祈りの場として機能しました

尖頭アーチ…頂上が尖ったアーチで、重力を効率よく真下へ逃がして天井をより高く押し上げる骨組み

フライング・バットレス(飛梁とびはり)…高い屋根が外側へ倒れようとする力を、外から受け止めて力を逃がす外付けのアーチ型支え梁

リブ・ヴォールト…骨組み(リブ)を交差させて天井全体を軽量化し、薄い壁でも広い大空間を支えられるようにした天井構造

・レオン大聖堂世界遺産:サンティアゴ巡礼路上で発達した純粋なフランス風ゴシックの典型であり、トリフォリウム(壁面中間にある低いアーケード)までガラスの壁とし、繊細かつ華美なステンドグラスで光の空間美を備えています

・トレド大聖堂世界遺産:スペイン・ゴシック建築の最高峰です。彫刻と建築が一体となって差し込む光を劇的に演出する空間的特徴を持っています。また、ムデハル様式の特徴もみられる鐘楼(画像左)がひときわ目立つ存在です

12世紀〜16世紀│ムデハル様式

ムデハルとは、キリスト領内にとどまり改宗しなかったイスラーム教徒を指します。ムデハル様式イスラーム教徒の職人たちが、キリスト教徒の領主のために建築を手がけた融合様式です。イスラーム芸術の影響を色濃く受けながらも、イスラーム教・キリスト教・ユダヤ教の文化が絡み合った特有の様式となりました。ロマネスク様式やゴシック様式の構造に、イスラームの装飾や美意識が融合しています

石材が高価な地域において、手に入りやすいレンガ、漆喰、木材、アズレージョ・タイルなどを高度な加工技術で、華やかな空間を作り出しました。レンガ造りの幾何学レリーフ、幾何学模様の木製格天井が特徴です

アズレージョ・タイル(セビリア スペイン広場)

アズレージョ・タイル…色付け・絵付けがされたタイル。14世紀にイスラーム教徒らによりイベリア半島に持ち込まれました。現在は主にポルトガルの文化的特徴にもなっています

・アルハフェリア宮殿世界遺産:建材が質素な代わりに、石膏彫刻や壁面装飾が過剰ともいえるほどに施されています。特にアーチ構造の装飾的要素が発展し、幾重にも葉が重なるような構造の「多様アーチ」と呼ばれるイスラーム建築の特徴がみられます

・テルエル大聖堂世界遺産:レンガの積み方や幾何学レリーフ、緑や白のアズレージョ・タイルで鮮やかに彩られたミナレット風の塔が建てられています(写真左)。内部はイスラームの職人による木製格天井が見られ、キリスト教の教会構造をイスラームの美意識や技術で再構築しています

1986年「テルエルのムデハル様式建築」が世界遺産に登録されましたが、2001年に「アラゴンのムデハル様式建築」として改名され、アルハフェリア宮殿を含む6つのムデハル様式建築が世界遺産に追加されました

16世紀〜18世紀│黄金時代からバロック・新古典主義

15世紀にカスティーリャ女王イサベルとアラゴン王フェルナンドが結婚し、統一スペイン王国が誕生しました。また、イスラーム勢力からイベリア半島の支配を奪還してレコンキスタを完了させ、カトリック両王の称号を得ます。大航海時代を経て黄金時代を迎えたスペインは、独自の建築美を展開します。

16世紀前半│プラテレスコ様式

カトリック両王からカルロス1世期にかけて、富と黄金時代の高揚感を華やかさで表現しています。銀細工(=プラテレスコ)のような繊細な装飾から始まり、厳格かつ壮大な超厳格様式へと移行していきます。ゴシック建築の躯体に、燭台模様や紋章、アラベスクなどが密集した装飾モチーフがあしらわれた非常に華やかな建築が特徴です

・サラマンカ大学世界遺産:プラテレスコ様式の傑作とされるファサードには、緻密で華やかな装飾が見られます。訪れた人の目線を考慮し、下段ほど細かく彫刻がほどこされています

16世紀後半│エルレラ様式

フェリペ2世期の絶対王政と宗教改革(カトリック改革)の重厚な精神性とスペインの威信を反映しています。そのため、プラテレスコ様式から一転、厳格・無装飾・幾何学的特徴を特徴とした建築様式です。壁面の彫刻装飾も極力排除しており、花崗岩の切り石による直線美、左右対称の構成が見られます。

・エル・エスコリアル修道院世界遺産:フェリペ2世がマドリード近郊に建設した王宮・修道院・大聖堂を内包する複合建造物です。旧約聖書に登場する「ソロモン神殿」の構造や記述が着想の源泉となっています

17〜18世紀│バロック様式

イタリアからバロック様式の影響が伝播し、スペインでは過剰なまでの装飾がなされる独特の美学が発展します。なお、同時期のヨーロッパ内ではロココ様式が流行していましたが、スペインにおいてはバロック様式からの衰退として捉えられていました

・マドリード王宮:巨大な敷地、豪勢な天井画や大階段、高級な建材が使用された華やかな王宮です。イスラーム様式の要塞と伝統的なスペインの宮殿の形式の両方を彷彿とさせる、中庭を中心とする正方形の構造をしています。2,700室もの部屋があり、現在も国の行事に使用されています

18世紀│新古典主義

過剰なバロック装飾から、古代ギリシャ・ローマの秩序に学んだ調和と節度を重視する新古典主義へと流行が移行していきました。1752年に創立された王立サン・フェルナンド美術アカデミー(RABASF)が中心となり、理知的な建築理念が本格的に広まりました

・プラド美術館世界遺産:スペイン新古典主義を代表するフアン・デ・ビジャヌエバによって設計された重厚な県チックです。当初「自然科学館」として計画され、アカデミー・講堂・美術館という3つの機能を持ち、都市計画と同時に進められました

ヨーロッパ都市で最初の並木道とされるプラド通りから、プラド美術館・レティーロ公園・植物園・天文台などの施設が整備され、その文化的景観の価値の高さから「プラド通りとブエン・レティーロ、芸術と科学の景観」として、マドリード中心部が世界遺産に登録されています

19世紀〜20世紀初頭│カタルーニャ・モダニズムとアントニ・ガウディ

19世紀の産業革命とネオ・ムデハル運動などを背景に、バルセロナを中心に有機的な美を追求したカタルーニャ・モダニズムが開花します。自然界の動植物をモチーフにした曲面デザイン、鉄工・モザイクタイル技術などの伝統工芸の再解釈、斬新な構造力学を用いたつくりなど新たな要素が見られます

  • アントニ・ガウディ:サグラダ・ファミリア世界遺産、カサ・ミラ世界遺産、カサ・バトリョ世界遺産
  • リュイス・ドメネク・イ・モンタネール:カタルーニャ音楽堂世界遺産、サン・パウ病院世界遺産
  • ジョセップ・プッチ・イ・カダファルク:カザラモーナ工場、カサ・アマテラー

・カサ・アマテラー…チョコレート実業家アントニ・アマテラーの邸宅として手がけました。オランダ風の屋根に、カタルーニャ・ゴシックの彫刻や鮮やかなタイル、鍛鉄細工を融合させたファサードが特徴です。ガウディのカサ・バトリョに隣接しているので、ぜひ訪れてほしい建築です!

20世紀〜現代│現代建築の革新

カタルーニャ・モダニズム以降も、スペインは世界の現代建築を牽引し続けています。また、これまでは注目されていなかった「建築家」という存在にもスポットが当てられ始めます

20世紀前半〜中盤│モダニズム建築

1929年バルセロナ万博のミース・ファン・デル・ローエによるバルセロナ・パビリオンはモダニズム建築の傑作とされ、国際的なスタイルを求める建築家グループGATEPACが結成されます。このことからもモダニズム建築においても、スペインは最先端で新たな建築様式を模索していたことが分かります

・バルセロナ・パビリオン:モダニズム建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの代表作。鉄骨柱、ガラス、美しい大理石の壁を組み合せることで、建物内外がシームレスにつながり、開放性が感じられます。万博後に一度解体されましたが、同じ場所に復元され、あのバルセロナ・チェアとともに必見のスポットです

20世紀末〜│脱構築主義

1992年バルセロナ五輪やセビリア万博、そして1997年開館のフランク・ゲーリー設計ビルバオ・グッゲンハイム美術館は、建築が街を再生させる「ビルバオ効果」として世界的に有名になりました

・ビルバオ・グッゲンハイム美術館:アメリカの建築家フランク・ゲーリーが手掛けた脱構築主義(デコンストラクティヴィズム)を代表する傑作です。波のようにうねるフォルムと、光によって表情を変えるチタンパネルが圧倒的な視覚的インパクトを与えます

ビルバオ効果…スペイン北部バスク地方にあるビルバオは、かつて製鉄や造船業で栄えた工業都市でしたが、1970~80年代に衰退し、街は活気を失いました。バスク自治州政府は、「文化とデザインを軸にした都市全体の再開発計画」へと舵を切り、その象徴としてビルバオ・グッゲンハイム美術館が開館。人口約35万人の都市に年間100万人以上が訪れるようになり、大きな成功を収めました

21世紀〜│現代の巨匠たち

サンティアゴ・カラトラバ、ラファエル・モネオ、RCRアルキテクタスなど、高い技術と建築哲学を兼ね備えた建築家が活躍しています

まとめ│スペイン建築史を知ると、あなたの旅はもっと面白くなる!

スペイン建築の歴史は、多様な民族と宗教の衝突と融合の歴史そのものです。それぞれの時代が遺した建築の背景を知って現地を訪れると、見上げた建築の形や細部の装飾をより一層深く捉えることができます。ぜひ次のスペイン旅行では、時代ごとの建築の移り変わりを体感してみてください!

では、よい旅を~😊

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